放送局の裏の裏。



夏の夜の寒い経験(前編)

ラジオは、とても濃いリスナーさんで支えられている。
いい意味でも濃く、悪い意味でも濃い。
その方々の熱意は並々ではなく、
時にはラジオを動かす大きなパワーとなる。
これは、
その熱意がちょっと間違った方向に進んでしまったあるリスナーさんと、
ちょっと頼りない若手ラジオマンの、
壮絶な戦いの記録である。

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「drive-2-ikoさん、お客様が来られてます。」

7月も終わりに近づいたある日の夜9時、
通用口警備室からの電話が鳴った。

俺「お客?今日は誰とも約束なんかしてないんですが・・・どちら様ですか?」
警備「佐藤(仮名)さんとおっしゃってますが。名前を言えばわかるはずだからと。」
俺「知らないなぁ~、とりあえず、代わっていただけますか?」

まったく知らない人が、
正面玄関も閉まったこんな時間に訪ねてくるなんて怪しい。
俺、なんか悪いことしたっけ?などとあやふやな記憶をたどるが、
〝最近は〟心当たりもない。
いったい誰だ?

佐藤(仮名)「○○○(番組名)の担当さんですか?佐藤(仮名)です。」
俺「申し訳ないんですが、どちらの佐藤(仮名)さんでしょうか?」
佐藤(仮名)「だ・か・ら、こないだスイカを送った佐藤(仮名)ですよ!」

思い出した・・・。
1週間前うちの番組宛に、
自分ちの畑で作ったという大きなスイカをひとつ、
送ってくれたリスナーさんがいた。
佐藤(仮名)さんっていったっけ?
そうやって送ってくれる人はたくさんいて、
申し訳ないんだけど一人一人の名前は正直覚えていられない。

俺「あっ、スイカの佐藤(仮名)さんですか。どうもありがとうございました。
  出演者と一緒に、美味しく食べさせていただきました!」

とりあえず知っているフリをして感謝を述べる。
スイカはほんとに美味しかったし。
でもなんで会社に来るんだ、この人?
少しの不安が胸をよぎる。

佐藤(仮名)「そーですか!美味しかったですか!良かったです!!」
俺「ハイ、本当にありがとうございました。」

で、それだけか?
そのためだけにうちに来たのか?
快活な返事に、不安はさらに膨れ上がる。

佐藤(仮名)「それで~なにも来ないんですけど・・・」
俺「ハイっ?」
佐藤(仮名)「だ・か・ら、なにも送られて来ないんですよ。」

キ、キ、キ、きたよーっ!

(続く)
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by drive-2-iko | 2005-07-28 18:39 | 日々の仕事
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社会人7年目。放送局に勤務する日常をつづります。
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